費行動から浮き彫りにされる日本人の特性』(2005)の中で分析していた。田畑は、その理由を日本人の他者性、他者依拠性に求めていた。すなわち、日本人には商品を購入するに当たって、その商品が他人からどのように評価されているのか、またその商品を持つことで自分は他人からどのように評価されるのかという特性が見られるのである。だが、田畑の研究は、ブランドの分析に止まり、他の消費行動までは検討されなかった。また、零点調査会社『中国消費文化調査報告』(2006)において、中国人の消費実態を明らかにするため、さまざまな実証調査が行われ、さらに、日本人の消費行動にも言及したが、簡単に触れただけで、日中両国の相違点を明らかにするまでに至っていなかった。以上のように、これまでの研究では、日中消費行動についての比較研究はまだ十分とは言えない状況である。三、研究の目的盧泰宏は、いままでの西洋消費者研究に偏る消費者行動学と違って、中国消費行動論が展開されたところは斬新的だと思う。しかし、中国消費行動の特性について、面子消費だけが言及され、根源にある文化的要素が捉えられていないのである。また、田畑(2006)では、ブランド好きが日本人の消費行動の大きな特徴のひとつだと位置づけ、そして、その根底に日本人の他者依拠性、他者性が強く働いていると指摘されたが、ブランド好きがあくまでも、日本人消費行動の一面にすぎないし、全体像が見えないのである。そこで、本稿では、先行研究の問題点を明らかにし、また、文化的視点から日中消費行動の比較研究を行うこととする。四、研究方法人々の行動に影響を与える要素として捉えられた文化は、消費行動を考える際に、無視できない因子だと言うことができる。これまで、消費行動を心理学、マーケティングなどの角度から、研究するものが多かった。しかし、比較文化の角度からの研究は、まだ少ないように思われる。