のはものたりない。ここで言っいる「季語の普遍性」は文学のみならず、今日本の人々の日常生活まで幅広く使われるようになっていて、日本人の独特のライフスタイルにおいても、重要的な役割を果たしている。例えば、手紙を書く時、正文の始めで、季語を使って、相手の御機嫌を伺うことは日本人のごく普通の習慣になってきた。それについても例を挙げて見たい。1、「謹啓陽春の候、田中先生にはますますご健勝の御事とお慶び申し上げます。さて、……」2、「拝啓盛夏の候、元気でよい夏をお迎えでしょう。ごぶさたいたしました、その後お変わりありませんか。……」3、「謹啓晩秋の候、鈴木部長は益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。つきましては、……」4、「謹啓厳冬の候、高橋社長はますますご健康のことと慶び申し上げます。さっそくですが、……また、葉書を書く時、季語もよく使われている。毎年、七月とお正月には特別用事が無くても、親しい人、お世話になった人に葉書を出す。お正月には、「新年おめでとう、元気でよいお正月をお迎えでしょう」或いは「謹んで新年のご挨拶を申し上げます」という新しい年を祝う「年賀状」を出す。また、七月は梅雨が明け、暑い夏に入る時なので、「梅雨あけて、大変暑いですが、お元気ですが」という葉書を出す。これを「暑中見舞い」と言う。終章ここまで見てきたように、季語は日本人の季節の推移に対する感受性を、非常に鋭く、繊細なものにしている。それは、日本の先人たちが千年以上にわたって、共通の経験や、共通の知識や、共通の美意識や、共通の思想などを通して、持ちつづけてきたのである。昔から、日本人は周りの環境や、平常の生活から美を発見することが好きだと言われる。自然の美は勿論、日本人が大切にされている。例えば、春の時人々が必ず家族と友達と一緒に花見に行き、夏になると、満山の緑を観賞するため、よく山へ登る。秋になると、必ず一10